航海日記 ⑨

 

さて船生活の中に対人関係のトラブルは付き物だ。

場所が限られているので窮屈な生活の上にルームメイトが合わなければ悲惨だ。

それで部屋を変えた人もいる。その分部屋代はかかってしまうがまだ時間はあるのでそちらの方がまだマシという決断なのだろう。

クルーはだいたい二人部屋で私の部屋は一人部屋だったのでその辺りはよかった。

また距離が近くなるので羽目を外しやすい。ピンク色の話が色んな箇所で飛び交う。ここで一時の思い出にするのなら良い場所だが、真剣交際と思うのなら個人的に止めておいた方がいい。特に船乗りの男は信用ならない。船から逃げ場はないので良く思わない人に好かれてしまうと結構大変だ。うっかり部屋番号を知られてしまうと電話がかけられるのでうんざりすることにもなる。私の仕事部屋のマッサージ室も個室だったのでお客さんと二人になる時よくセクハラなんじゃないかと思う言葉をかけられてハラハラした。皆が皆そういうモードでいると思わないで欲しい。しかし何かトラブルがあればいつでも報告できるし船長の権限で下船命令がだせるのでそこは安心だ。他にもすぐに噂が広まってしまうので悪いことはできない。

 

船なので常に波の揺れを感じる。縦ゆれ横ゆれ激しいときはマッサージ室の道具も棚から落ちるので注意が必要だ。

最初はこの揺れになれるのが大変だった。

私は太極拳をしていたので重心の取り方は簡単にできるが船酔いはもうどうすることもできない。

レセプションに箱いっぱいの酔い止めが置いてあるがあまり効かない。

船からは絶対下りられないので慣れないとどうしようもない地獄である。

食堂で顔真っ青になったドクターにあったがとても可哀想だった。

ここまでの航海中の揺れもすごかったが、インド洋を渡る時の波が今までと比べ物にならないくらい激しいものだった。私の部屋は船の下の階でエンジンの近くだったということも原因のひとつだが、インド航海中の私の部屋のベットはけっして大げさな表現ではなくジェットコースターに乗っているくらい激しいものだった。こんなので眠れるか!とつっこんだが実際全然眠れなくてしばらく寝不足が続いた。寝不足でいると船酔いも更に加速する。揺れに慣れたと思っていたが、気を抜くと吐き気が止まらない。この時期私はトイレとお友達になっていた。

 

続く

 

 

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